酒粕の再利用プロジェクト 実施レポート

はじめに

鳥取県内で進められている「酒粕の再利用先・アイデア募集プロジェクト」は、地域資源の循環利用をテーマにした取り組みです。酒造りの過程で必ず生じる副産物である酒粕は、栄養価が高く、食品や生活資材として幅広い可能性を秘めています。しかし、現状では十分に活用されていない部分も多く、廃棄されてしまうケースも少なくありません。今回のプロジェクトは、そうした課題を解決するために、地域の人々が集まり、酒粕の新しい活用方法を考える場として開催されました。

実施の流れ

当日は午前中から会場に参加者が集まり、まずプロジェクトの趣旨説明が行われました。酒粕が持つ栄養成分や保存方法、従来の利用例などが紹介され、参加者はその背景を理解したうえでアイデア創出に臨むことができました。

続いて、展示コーナーでは酒粕を使った試作品が並びました。食品としてはクッキーやスムージー、美容分野ではフェイスパックや入浴剤など、多様な試みが紹介され、参加者は実際に手に取ったり試食したりしながら酒粕の可能性を体感しました。

午後からはワークショップ形式でのアイデア創出が行われました。参加者はグループに分かれ、模造紙や付箋を使って自由に発想を広げていきます。食品分野だけでなく、農業資材や環境対策、さらには地域ブランド化といった広い視点から酒粕の活用を考える姿が印象的でした。

発表されたアイデア

ワークショップの最後には各グループが成果を発表しました。あるグループは「酒粕を混ぜ込んだパン生地」を提案し、健康志向の消費者に向けた新商品としての可能性を示しました。別のグループは「酒粕を活用した堆肥づくり」を提案し、農業と酒造業をつなぐ循環型モデルを描いていました。また、美容や生活用品の分野でも「酒粕入り入浴剤」や「酒粕を使った消臭剤」など、日常生活に取り入れやすいアイデアが多く出されました。

参加者の声

参加者からは「酒粕の可能性を改めて知ることができた」「食品だけでなく生活用品にも応用できるのが面白い」「地域資源を活かす取り組みとして継続してほしい」といった声が寄せられました。特に、酒粕を廃棄物ではなく資源として捉え直す視点に共感する意見が多く、今後の展開に期待が寄せられています。

まとめと今後の展望

今回のプロジェクトは、酒粕という身近な副産物を題材に、地域の人々が集まり、アイデアを共有する場となりました。単なる食品利用にとどまらず、農業や環境、生活用品など幅広い分野での活用可能性が示されたことは大きな成果です。今後は、発表されたアイデアの中から実現可能性の高いものを選び、試作や商品化に向けた検討が進められる予定です。

酒粕の再利用は、地域循環型社会の実現に向けた一歩であり、持続可能な未来を築くための重要な取り組みです。今回のレポートが、その可能性を広く伝えるきっかけとなれば幸いです。

PROFILE

千代むすび酒造

1865年(慶応元年)創業。日本酒を中心に発酵商品を通して、世界中の人々が健康に、幸せになることを目指して事業展開をしております。 「鳥取から世界に羽ばたく進化する老舗」をコーポレートメッセージとして、伝統を重んじながらも“破壊と再構築”で常に進化を目指します。

一覧にもどる

パートナーシップでSDGs とっとりアイデアマーケット